研究課題/領域番号 |
04453053
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
加々美 寛雄 岡山大学, 地球内部研究センター, 助教授 (20108179)
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研究分担者 |
岡野 修 岡山大学, 理学部, 助手 (10233355)
本間 弘治 岡山大学, 地球内部研究センター, 教授 (70033131)
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キーワード | 西南日本弧 / 下部地殻源ゼノリス / 上部マントル源ゼノリス / Sr・Nd同位体比 / 後期白亜紀珪長質火成岩 / ジュラ紀苦鉄質火成岩 / Sm-Nd年代 / Rb-Sr年代 |
研究概要 |
(1)西南日本弧は後期白亜紀一古第三紀珪長質火成岩のSr、Nd同位体的特徴によりSouth、North、NorthernKyushu、Transitionalの4つのZoneに区分される。それぞれのZoneに分布する新生代火山岩に捕獲された上部マントル、下部地殻源物質は、各Zoneの珪長質火成岩のSr、Nd同位体的特徴と一致している。 (2)Transitional ZoneはNorth ZoneタイプとSouth Zoneタイプの上部マントル・下部地殻物質が混在しているものと考えられる。 (3)それぞれのゾーンから得られたマントルを起源と考えられる苦鉄質火成岩のSr、Nd同位体比の値は各ゾーンの珪長質火成岩の値とオーバーラップする。 (4)上記の(1),(3)は珪長質火成岩をつくったマグマはマントル物質と下部地殻物質を起源としていることを示している。 (5)North Zoneの倉吉市を中心とする地域に分布する珪長質火成岩のNd同位体比に注目すると、活動時期とともにその値は変化する。即ち約85Maから70Maにかけて活動した火成岩のεNd値は0.51245から0.51255の間に入る値をもつのに対し、65Maに活動したものは0.51255から0.51260、39Maのものは0.51263から0.51267と徐々に上がる。Sr同位体比の変化はこれほど明瞭ではないが、時代が若くなるとともに全体としてその値は低下する。以上の傾向は珪長質火成岩をつくったマグマ形成に関して、Norh Zoneの下部地殻を代表させてきた隠岐島後タイプの下部地殻物質の貢献度は、時代が若くなるとともに低下していることを意味している。 (6)領家帯を中心とするSouth Zoneの火成活動は後期白亜紀の6-7千万年間途絶え日本海形成時(中新世中期)あるいは直後の数百万年間再び起こる。したがって、後期白亜紀から日本海形成に至る間に活動した火成岩のSrおよびNd同位体比の連続的変化を追うことができない。白亜紀以前の火成岩と中新世中期の火成岩を比較すると、それらの間のSr、Nd同位体比に関する差が著しい。これは日本海形成に伴って領家帯下のマントルが大きく変化したことに起因している。
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