金属基複合材料の1つにNi-W共晶合金がある。この場合、強化相であるWの形態が重要で、層状よりは棒状であることが望ましい。そこでNi-W系共晶合金の固液界面を詳細に観察した結果、共晶W走は液相中でファセット形状を呈しており、これに対して初晶のW相はノンファセット凝固する現象を明らかにした。また共晶組織でのW相とNi相の方位関係を明らかにすることができた。これらの結果、W相の形態はNiのγ相との整合性で決まることを突き止めた。即ち、Ni(100)方位が凝固方向に平行な場合、W相は棒状を取ることを明らかにすることができた。これらの結果は金属学会で発表し、現在は論文を2つ、金属学会に投稿及び投稿準備中である。更にポーランドでのこの秋の鋳造複合材料の国際会議での発表を予定している。 またNi-W共晶系のモデルとしてもちいいたAl-SI合金系では、固液界面におけるSrのSi相への吸着がSiの微細化をもたらすことを明らかにした。Al-Si系に関してはSrの影響を明確にし、日本金属学会和文誌及び鋳物協会誌に投稿し、掲載された。この系に関しては界面エネルギーの測定実験も順調に進んでおり、現在は博士論文の取りまとめも終わり、Siの微細化のメカニズムをWの棒状かとの対比で取りまとめたいと考えている。
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