半導体ドープ高感受率非線形光学ガラスの作製

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04453066
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 山根 正之 東京工業大学, 工学部, 教授 (40016382)
• 研究分担者: 矢野 哲司 東京工業大学, 工学部, 助手 (90221647) ; 安盛 敦雄 東京工業大学, 工学部, 助教授 (40182349) ; 柴田 修一 東京工業大学, 工学部, 助教授 (00235574)
• キーワード: 非線形光学ガラス / PbS微粒子ドープガラス / ゾルゲル法

研究概要

直径が10nm程度で粒径のそろった球形のCdS,CdSe,CuCl,PbS,等の半導体微粒子を多数含む、高感受率の三次の非線形光学ガラスの作製を目的として、前年度の研究で明らかにしたPbSドープガラスの作製条件について、分散している微粒子の粒径分布をより狭くする手法の開発を行なった。
LaMerにより提案されている単分散コロイド析出モデルを基礎とし、(Pb)酢酸塩の過飽和度を変化させることによって、酢酸鉛コロイドの核生成と成長過程の制御を行い、均一な粒径有する半導体微粒子の前駆体となるPbO粒子をソーダボロシリケート系ゲル細孔内に析出させた。その後、この微粒子を含むゲルを室温で硫化水素処理することによりPbO粒子をPbS粒子に変換し、無孔化のための熱処理を施してガラスを得た。
得られた乾燥ゲルとガラスについてTEM観察をもとに粒径分布を測定したところ、40℃の酢酸鉛飽和溶液をゲルに含浸してから30℃まで温度を下げて過冷却状態にして核生成を促進した後、溶解度の低いアセトンに漬浸することにより、粒径の揃った酢酸鉛微粒子を析出させることが出来ることが明らかになった。また酢酸鉛微粒子の粒径分布は、硫化水素処理により硫化鉛に変換しても変化しかなかった。
しかしゲルの無孔化のための熱処理をCdS微粒子ドープガラスの場合と同様に減圧下で行なうと、硫化鉛の粒成長が著しく、この熱処理過程についての最適条件に関する研究が必要であることが明らかになった。

研究成果

• [文献書誌] T.Takada,T.Yano,A.Yasumori,M.Yamane,J.D.Mackenzie: "Preparation of quantum-Size CdS-doped Na_2O-B_2O_3-SiO_2 Glasses with high non-linearity" J.Non-Cryst.Solids. 147&148. 631-635 (1992)
• [文献書誌] M.Yamane,T.Takada,J.D.Mackenzie,C-Y.Li: "Preparation of quantum dots by the Sol-gel process" SPIE. 1758. 577-586 (1992)
• [文献書誌] 山根正之: "ゾルゲル法による機能性ガラスの作製" 光技術コンタクト. 30. 693-699 (1992)
• [文献書誌] T.Takada,T.Yano,A.Yasumori,M.Yamane: "Preparation of PbS quantum Dot materials by the Sol-Gel Process" J.Ceram,Soc.Jpn.101. 73-75 (1993)
• [文献書誌] 山根正之: "光機能性ガラスの作製へのゾルゲル法の応用" 表面. 31. 538-544 (1993)
• [文献書誌] M.Umino,T.Yano,A.Yasumori,S.Shibata,M.Yamane: "Preparation of Porous Glasses for Photonic Materials" Ceramic Transactions. 31. 191-200 (1993)