研究概要 |
直径が10nm程度の球形のCdS,CdSe,CuCl,PbS等の半導体微粒子を多量に含む高感受率の三次の非線形光学ガラスの作製を目的として、5Na_2O-25B_2O_3-70SiO_2(mol%)の組成のガラスについて,ゾルゲル法により,CdSドープガラスおよびPbSドープガラスの特性向上を主眼に研究を行った。 Cd源の酢酸ガドミウム含有量を20%まで増大させた前駆体を用いて作製したゲルは、酢酸カドミウムを酸化カドミウムに変換するための酸化処理を400-420℃で行なうのが望ましく、酸化カドミウムを硫化カドミウムに変換するための硫化処理の最適温度域は、120-150℃であることが明らかになった。 これらの条件下で作製したガラスは、これまでに得られていた値より更に大きな非線形感受率をしめした。 PbSドープガラスについては、予め5Na_2O-25B_20_3-70SiO_2(mol%)の組成のゲルを作製し、これに40℃の酢酸鉛飽和溶液を含浸させ、30℃まで温度を下げて過冷却状態にして核生成を促進した後、溶解度の低いアセトンに浸漬することにより、粒径の揃った酢酸鉛微粒子を析出させることが出来た。この酢酸鉛微粒子の粒径分布は、硫化水素処理により硫化鉛に変換しても変化しなかった。 したがってCdSドープガラスの場合にも同様に予め作製したNa_2O-B_20_3-SiO_2系ゲルに酢酸カドミウムの飽和溶液を含浸させ、温度を下げて過冷却状態にして核生成を促進することにより、CdSの前駆体である酢酸カドミウムの粒径を揃えると、さらに高い非線形感受率を示すことが明らかになった。
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