研究課題/領域番号 |
04453069
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
曽我 直弘 京都大学, 工学部, 教授 (80026179)
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研究分担者 |
田部 勢津久 京都大学, 総合人間学部, 助手 (20222119)
花田 禎一 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (50111935)
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キーワード | 希土類含有ガラス / アップコンバージョン / 波長変換レーザー / エネルギー移動 / 励起状態吸収 / フオノンサイドバンド / メスバウアー効果 / 配位子場 |
研究概要 |
平成4年度までに、希土類含有ガラスについて以下の知見を得た。Er^<3+>含有ガラスについては、ホストのフオノンエネルギーの小さなガラスにおいて、800nmの半導体レーザー励起により、高強度のアップコンバージョン蛍光が550nmの可視域において観測され、その強度はガラス網目形成物のフオノンサイドバンドにおける振動数の減少と共に増大した。また更に、波長可変色素レーザーにより励起を行ったところ、650nm付近の赤色光励起により、緑色を発することを明らかにした。更に励起光波長を変えることにより、ガラスの中の機構がフッ化物中では隣接Er^<3+>イオン間のエネルギー移動によるもので、重金属酸化物ガラス中では励起状態吸収機構によるものであることを明らかにした。Tm^<3+>含有ガラスについては、色素レーザーにDCM色素を用いることにより、630‐700nmの励起光を得ることができ、2段階励起で、360nmの紫外光、450nmの青色領域においてアップコンバージョン蛍光を観測した。また励起波長を変えて測定することにより、このガラス中においては励起状態吸収が、2段階励起の支配機構であることを明らかにした。また、ガラス中の希土類イオンの局所構造を明らかにするために、^<151>Eu‐メスバウアー効果の測定を行い、フツリン酸塩ガラスにおいては、酸素イオンが優先的にEu^<3+>イオンに配位し、P-O結合の伸縮振動が多フオノン緩和による無輻射損失に寄与していることをフオノンサイドバンドの測定より明かにし、そのため、アップコンバージョン効率が著しく減少することを明らかにした。ガラス中の希土類イオンの配位子場を規定し、各準位の遷移確率や相対的なブランチ比を支配する強度パラメータを吸収スペクトルからJudd‐Ofelt理論により算出し、その決定因子とガラス構造の関係について調べた。またその結果を応用して、Tm^<3+>イオンの紫外、青色発光の強度比を制御することに成功した。
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