研究課題/領域番号 |
04453080
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山邊 時雄 京都大学, 工学部, 教授 (80025965)
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研究分担者 |
御崎 洋二 京都大学, 工学部, 助手 (90202340)
立花 明知 京都大学, 工学部, 講師 (40135463)
田中 一義 京都大学, 工学部, 助教授 (90155119)
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キーワード | フラーレン / 電子状態 / 磁気物性 / 固体物性 / スピン状態 / 強磁性的電子相関 / 高次フラーレン / バッキーチューブ |
研究概要 |
本研究はバックミンスターフラーレン(C_<60>)ならびにその関連化合物について、電荷移動型錯塩を作製し、主としてその磁気物性・分光物性の解析を行うことによってそれらの特異な電子状態の解明を行うことを目的として実施した。その研究実績の概要を以下に示す。 (1)C_<60>あるいはC_<70>とテトラキス(ジメチルアミノ)エチレン(TDAE)の電荷移動錯塩を作製し、前者の塩が16.7-17.5Kで強磁性転移を引き起こすことを確認し、また後者の塩では液体ヘリウム温度に至るまで常磁性であることを見い出した。 (2)高次フラーレンであるC_<84>,C_<90>,さらにC_<96>について、(1)と同様の錯塩を作製し、C_<70>と同じく液体ヘリウム温度に至るまで常磁性であることを見い出した。これらのことから、高次フラーレンの電子状態、特にアニオンのそれはC_<60>と全く異なることが明らかとなった。 (3)(1)における錯塩を溶媒に溶かし、液相中でのイオン種の特定を行った。それによると、C_<60>は1価と2価のアニオンに不均化することが明らかとなった。またTDAE-C_<70>ではそのような不均化は起こらず、1価のアニオンのみが認められた。 (4)C_<60>およびC_<70>を共に含むTDAE錯塩を作製し、C_<70>の比率が増加するほど強磁性転移温度が低下することを見い出した。また以上のような知見をもとに、フラーレンにおける磁性発現機構を論じた。 (5)カーボンナノチューブあるいはバッキーチューブと呼ばれる、ナノサイズの炭素繊維がフラーレン作製時の副産物として得られるが、そのモデルに対する電子状態解析を行い構造によって金属的あるいは半導体的電子物性が現われうることを明らかにした。
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