研究課題/領域番号 |
04453086
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
植村 榮 京都大学, 工学部, 教授 (70027069)
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研究分担者 |
杉田 利夫 京都大学, 工学部, 教授 (20025878)
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キーワード | 不斉セレノキシド脱離 / 不斉シグマトロピー転位 / 軸不斉シクロヘキシリデン / 光学活性スルホキシド / シャープレス酸化剤 / デービス酸化剤 / テルロキシド脱離 / 不斉スルホキシド |
研究概要 |
まず第一に、不斉セレノキシド脱離反応による光学活性アレンおよびシクロヘキシリデン化合物の合成に世界で初めて成功した。具体的には、トシル基を有するアリールビニルセレニドを文献既知の方法で合成し、これを塩化メチレン中シャープレスおよびデービスの不斉酸化剤を用いて酸化すると、系内で生成した不斉ビニルセレノキシドが不斉セレノキシド脱離を起こし光学活性なトシルアレン化合物が生成することを見いだした。この反応においてアリールセレン基としてオルト位にニトロ基を有することが不斉収率を向上させるための必須条件であること(最高で42%ee)、シャープレス酸化剤の方がデービス酸化剤より有効であることなどを明らかにした。一方、同様の不斉セレノキシド脱離反応を出発基質として(アシルメチルシクロヘキシル)アリールセレニドを用いると光学活性シクロヘキシリデンケトン化合物が非常に高い不斉収率(最高83%ee)で得られることも見いだした。この際にはデービス酸化剤が有効であった。 また、アリルアリールセレニドをシャープレス酸化剤で不斉酸化すると対応する不斉セレノキシドを経由して[2.3]シグマトロピー反応により光学活性アリルアルコール類が最高92%eeの不斉収率で生成することを見いだした。この場合にもオルト位にニトロ基をもつアリールセレニドが有効であった。一方、不斉テルロキシド脱離反応の開発には成功しなかったが、系内で合成したアリルアリールテルリドを不斉酸化することにより、対応する不斉テルロキシドを経由する[2.3]シグマトロピー不斉転写により光学活性アリルアルコール(30%ee)を合成することに極く最近成功した。
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