研究概要 |
1.ボリルメチル亜鉛試薬のカップリング反応によるアリル,ベンジル型ホウ素反応剤の開発. ボリルメチル亜鉛試薬と1-アルケニルまたはアリールハロゲン化物のクロスカップリング反応をパラジウム触媒存在下行い,アリル,ベンジル,プロパルギル型ホウ素化合物の選択的合成に成功した.この手法の開発により初めての分子内アリルホウ素化反応に成功し、環状ホモアリルアルコールの立体選択的合成を達成できた。また,ベンジル型ホウ素化合物合成はo-キノジメタンの簡便な発生法に発展できた. 2.ハロボレーション反応を利用したアリル型ホウ素反応剤の開発.末端アルキンのブロモボレーション反応,有機亜鉛試薬とクロスカップリング反応,次にLiCH_2Brによる増炭素反応を組み合わせアリルホウ素化合物の立体選択的合成に成功した.この酒石酸ジオールエステル誘導体はアルデヒドのアリルボレーションにおいて高いエナンチオ選択性を示し,ホモアリルアルコールを94%eeで合成できた. 3.炭酸プロパルギルと有機ホウ素化合物のクロスカップリング反応.パラジウム触媒を用いる有機ホウ素化合物のクロスカップリング反応は適当な塩基の存在下でのみ円滑に進行する.これに対して炭酸プロパルギルと有機ホウ素化合物のカップリング反応は中性下で進行し,アレン型カップリング体を収率よく与えた.反応の置換基効果,立体効果、電気効果などを調査し,S_E(coord)機構による配位子交換を経て進行することを明かにした.
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