研究課題/領域番号 |
04453096
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
上野 昭彦 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (50091658)
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研究分担者 |
池田 博 東京工業大学, 生命理工学部, 技官 (70201910)
中村 朝夫 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (50155818)
池田 宰 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (40151295)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | シクロデキストリン / 修飾シクロデキストリン / 指示薬 / ホストーゲスト / 包接錯体 / 色変化 / ステロイド / P-ニトロフェノール |
研究概要 |
シクロデキストリン(CD)は、分光学的に不活性であるがクロモフォアで修飾することにより分光学的に活性なホストに変換できる。本年度は、CDのゲスト分子包接が色変化を引き起こす系としてP-ニトロフェノール単位を有するα-CD(1)とβ-CD(2)を合成した。これらの化合物は、α-あるいはβ-CDのアミノ化物と2-ヒドロキシ--5-ニトロ安息香酸をDCCによってカップリングして得た。ゲスト不在、存在下のpkaは1について4.98および5.14であり、2については4.82および5.11であった。これらの化合物の500MHz-NMRの解析から、これら化合物のP-ニトロフェノール単位はゲスト不在下においてもCD空孔内に深く入らず、ゲスト添加によってわずかに位置を変化させることが判明した。PH6.5でゲスト添加すると389nmの吸収極大が減少し溶液が黄色くなった。ゲスト不在時の吸光度をIoとし、ゲスト添加後の吸光度をIとすると△I(=Io-I)/Ioがこの系の感度パラメータとなる。ゲスト濃度を1mMとしたところ、1はヘキサノール、ペンタノール等の直鎖アルコールに対して2より検出感度が高かった。しかし、ステロイド類を含む多くのゲストに対しては、2の感度が高かった。また、2はコール酸誘導体について、化合物間の識別能力も良好であった。2の結合能力は大きく、ウルソデオキシコール酸に対し130万M^<-1>、1-アダマンタノールに対して70万M^<-1>の結合定数を示した。P-ニトロフェノール単位が、疎水性キャップとして機能し、この強い結合能力が実現したものと推測される。 すでに実現している酸性領域で色変化するX4ルレッド修飾CDと異なり、上記の系は中性領域で機能する。さらに、最近、アルカリ領域でゲスト添加により紫から無色に変化するフェノールフタレイン修飾CDの合成にも成功した。これらは分子認識指示薬として利用できる。
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