研究課題/領域番号 |
04453097
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
伊藤 卓 横浜国立大学, 工学部, 教授 (50016721)
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研究分担者 |
湊 盟 横浜国立大学, 工学部, 助手 (40239306)
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キーワード | 有機モリブデン錯体 / ヒドリド錯体 / 三級ホスフィン / シクロペンタジエニル配位子 / イミン / 還元 / アリル錯体 / アミド錯体 |
研究概要 |
モリブデンの各種有機金属錯体を、合成試薬として、あるいはまた錯体触媒として用いる方法を開発することを目的とした本研究において、昨年度に引き続き、本年度は以下の成果を挙げることができた。 1.Cp_2MoH_2(Cp=η^5-C_5H_5)とアリルアルコール類とのプロトン酸存在下での反応において、クロチルアルコールについても無置換アリルアルコールの場合と同様の反応が進行し、カチオン性のη^3-アリル錯体と環状-γ-ヒドロキシプロヒル錯体とが生成することが認められた。ホモアリルアルコールでは二重結合の移動を伴って、クロチルアルコールの場合と同一の生成物を与えた。さらに、これらの系で、アリル二重結合の還元が観察されたが、今後この点を詳細に検討し、金属をテンプレートとした、アリル二重結合の立体選択的還元反応の可能性が期待される。 2.Cp_2MoH_2はプロティック条件下でイミン類を還元することが明らかとなった。なかでも、窒素原子にフェニル基の結合した、アニリン由来のイミンに対する反応性は格別高く、メタノール溶媒中の反応では、プロトン酸の存在を必要としない。このようなイミンとケトンが共存する系では、イミンのみを選択的に還元することが可能となった。さらに、プロトン酸として酒石酸など、キラルな酸を共存させると若干の不斉誘導が観測された。 3.三級ホスフィンを配位子として持つビドリド錯体MoH_4(Ph_2PCH_2CH_2PPh_2)_2は、アミド化合物と反応して新規ヒドリアミド錯体を生成することをさきに見出したが、こうして得られたアミド錯体が種々の求電子試薬に対して極めて高い反応性を示すことが観測された。なかでも、メタノールとの反応で収率良く得られるジヒドリドジメトキソ錯体のさらに高い反応性は、新しい各種の有機モリブデン錯体の前駆体として有望であることが認められた。
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