研究課題/領域番号 |
04453099
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
奥 彬 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (50027885)
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研究分担者 |
鎌田 徹 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (30214513)
原田 俊郎 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (30135628)
内藤 郁夫 九州産業大学, 芸術学部, 助教授 (30069562)
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キーワード | カルベン / カルベノイド / 三分子連結反応 / 有機亜鉛化合物 / オキソニウムイソド / 環状エーテル |
研究概要 |
形式上2価の一中心ビラジカル型炭素中間体であるカルべンならびにその等価体カルベノイドは、同時に2本の共有結合を形成できることから、合成反応への利用がはば広く進められている。本研究では、合成的利用を目的として新規なカルベン型分子を設計し、その多元的な結合形成能を効果的に制御した反応の開発を行った。 カルベンの求電子性発現の要件を検討した結果、エーテル性酸素原子とのイリド形成を経由して第三成分の求核試薬を連結する3分子連結反応を見いだした。高反応性カルベンのこの様な多分子連結反応はこれまで殆ど報告がない。分光学的手法を用いた反応中間体の確認を検討することにより、反応機構に関する裏付けが得られた。さらに、この結果に基づきテトラヒドロフランをはじめとする環状エーテルの酸素原子に対するロジウムカルベノイドの分子内イリド形成を経由し環拡大を伴って進行する新規な中員環形成反応を開発した。 アート型亜鉛カルベノイドが適度の安定性と反応性を兼ねそなえ活性種であり、分子内アルキル化を伴う転位反応の結果、合成上有用な有機亜鉛化合物を中間に与えることを既に見いだしている。カルベノイド発生の際の立体化学に関して詳細な検討を行った結果、ハロゲン・金属交換反応の遷移状態に関する実験的な情報が得られた。また、本反応により発生する有機亜鉛化合物を各種の求電子剤で捕捉することを検討し、1,1-ジブロモシクロプロパンや1,1-ジプロモアルケンなどのジハロ化合物に1段階で求核試剤と求電子試剤とを連続的かつ立体選択的に導入できる収束的合成法の開発に成功した。 これらの研究おいては、本補助金で購入したキャピラリーカラムクロマトグラフならびに高速液体クロマトグラフを反応混合物の迅速かつ精密な分析に利用した。
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