研究課題/領域番号 |
04453100
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野村 正勝 大阪大学, 工学部, 教授 (10029184)
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研究分担者 |
村田 聡 大阪大学, 工学部, 助手 (70219921)
三浦 雅博 大阪大学, 工学部, 講師 (20183626)
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キーワード | 芳香族化合物 / 置換基導入 / 芳香族ハロゲン化物 / 末端アルキン / 活性メチレン化合物 / ニトロン / カップリング / 銅触媒 |
研究概要 |
交付申請書に記した計画に従って、始めに代表的な芳香族ハロゲン化物ならびにハロゲン化ビニルを選定、合成した。一部の化合物の調製には昨年度開発した簡便法を用いた。1.これらのハロゲン化物と不飽和化合物とのカップリングによる置換基導入反応では、まず昨年度開始した銅触媒を用いる末端アルキンとの反応の最適化とメカニズムの検討を行った。その結果、触媒としてヨウ化銅-トリフェニルホスフィン錯体が好結果を与え、銅とリンの比が1対2のときに最大の反応速度を示すことがわかった。単離した反応中間体錯体の種々スペクトル分析から、系中で発生する銅アセチリド-ホスフィン錯体が活性種であり、これがハロゲン化物を攻撃することにより生成物である非対称アルキンを与えると推定された。2.この反応を一酸化炭素下で行うことによりクロスカルボニル化が起こり、アリールアルキニルケトンを与える。この場合、銅とリンの比が8対1でケトン収率が最大となった。3.アルキン以外の不飽和化合物として、単純なアルケンは用いることができなかったが、活性メチレン化合物を塩基で処理することにより生成するエノラートと芳香族ヨウ化物が効率よく反応することを見い出した。この反応でも銅触媒が優れた活性を示した。配位子の添加はむしろ反応速度を低下させた。この新規触媒反応の応用として、非ステロイド系抗炎症性医薬の基本骨格となる2-アリールプロピオン酸の合成を行い、本反応の有用性を示した。4.第1項の反応中間体に関する知見を基に、ハロゲン化物の代わりに芳香族置換ニトロンを用いて反応を行ったところ、複素環化合物等の合成に有用な1-アザ-1-ブテン-3-イン誘導体が好収率で生成することを見い出した。以上のように2年間にわたる本研究の推進により、芳香族化合物の高度有効利用に資するいくつかの新規反応の開発に成功した。
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