研究課題/領域番号 |
04453108
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
岡野 光夫 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (00130237)
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研究分担者 |
鈴木 憲 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90216375)
山田 則子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50107314)
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キーワード | ポリイソプロピルアクリルアミド(PIPAAm) / 表面グラフト / 肝細胞 / 内皮細胞 / 細胞脱着 / 細胞回収 / 親水-疎水性の表面変化 |
研究概要 |
ポリイソプロピルアクリルアミド(PIPAAm)が、水中において低温で充分に水和し引き延ばされた構造を示すことを利用し、培養皿表面にPIPAAmを表面グラフトさせ、37℃で疎水性、32℃以下で親水性となる表面を合成した。イソプロピルアルコールにモノマーを溶解させこれに電子線を照射して表面グラフトを行った。この場合モノマー濃度を種々変化させ、表面の厚さを0.5μm〜50μmの範囲で変化させる条件を設定した。グラフト表面をESCA、表面多重反射赤外スペクトルで解析しPIPAAmが最外層の表面では完全におおっていることを明らかにした。また、動的接触角測定により32℃以上でCosθがほぼ0、すなわちポリスチレンとほぼ同様な疎水性表面となり32℃以下ではかなり大きな親水性となることが明らかにされた。このような親水-疎水性の可逆的に変化する表面を用い、肝細胞および内皮細胞は37℃で市販の培養皿とほぼ同様の増殖性を示すことが示された。また、10℃に温度を低下させることによって肝細胞はアルブミン産生機能を、内皮細胞はプロスタグランジンI_2の産生機能を失うことなく脱着・回収できる(トリプシン処理による脱着と大きく異なる)ことが明らかにされた さらに細胞内骨格構造の影響についても代謝阻害剤を用いて検討が進められた。脱着に際して材料表面の親水化と同時に接着細胞の材料との結合点が水と交換し、細胞膜の動的変化によってより脱着が促進される機構が見いだされた。すなわち、温度低下によって材料表面を親水性化させて細胞との結合点を切断すると同時にある程度細胞の代謝変化が生起する10〜15℃付近で良好な細胞脱着を生起させることが明らかにされた。
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