研究概要 |
土壌生成速度の測定と評価を行うためのベンチマークサイトを選定した。温帯林集水域としては、島根県東部の意宇川集水域の安山岩質と花こう岩質の小集水域を選定した。熱帯林集水域としては、インドネシア西スマトラ州のパダン市東のガド山流域のうち、安山岩質の小集水域を選定した。劣化した熱帯集水域として、ナイジェリア中部のビダ市付近、ニジェール南西部のトロディ市付近の予備調査も行った。 意宇川とガド山集水域においては、選定したベンチマーク小集水域の植生,土壌,母材の調査とサンプリングを行った。これらの小集水域の降雨と流出水、土壌水の連続的モニタリングと水質分析の実施体制を整備した。ガド山集水域では現地大学の協力を得て定期的な観測とサンプルの島根大学への送付体制を確立した。 土壌と岩石を約400点サンプリングした。テフロン高圧分解、Icp発光分析法によって主成分諸元素(Si、Al、Fe、Ca、Mg、K、Naなど)の迅速分析が可能になり、小集水域の微地形と諸元素の分布の特徴などを明らかにした。植物葉と樹皮などのサンプリングも約500点行った。同様にテフロン分解ーIcp法によって主成分組成を明らかにし、土壌環境と植物の養分吸収特性との関係を予備的に調べた。 降雨と流出水、土壌水のモニタリングはpH、EC、Cl^-、So_4^<2->、No^-_3、HCo^-_3、Ca^<2+>、Mg^<2+>、K^+、Na_+、NH^+_4等について行い、季節変動、地質との関係、酸性雨の影響などについて検討した。 以上の岩石、土壌、降雨、河川水のデータを総合化して集水域の土壌生成速度を計算するための理論と計算法を提案した。
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