各国で、処理・処分にたいへん頭を痛めている産業廃棄物の重要なものに石炭灰がある。年間排出量が世界的には4億トン/年、わが国では概算で年間400万トンほどにものぼり、適切な処理法の少ないこの灰は、環境を保全する立場からおおきな社会問題を引き起こしている。石炭灰を、多くの有用な機能を持つゼオライトに転換して、主に農蓄水産分野の資材として再利用する方法の確立を目的に研究を行い次の結果を得た。炭種が異なり、化学組成の違ういろいろな種類の石炭灰(フライアッシュ、クリンカーアッシュ)試料を採取して、より効率の高いゼオライト転換反応を見いだすことを試みた。石炭灰に2N NaOHを添加し1気圧90℃で反応させると、ヒドロキシソーダライト、フィリプサイト、ホージャサイト、ゼオライトAなど有用ゼオライトがかなり効率的に生じることがわかった。ケイ素含量の高い石炭灰はからはホージャサイトが生じやすかった。5気圧まで反応圧力を高めると、短時間でこらのゼオライトが生じた。ゼオライト化処理した石炭灰は陽イオン交換容量が200〜400meq/100gと、市販の天然ゼオライト資材に比べ3〜4倍も高い性能を有しているこがわかった。フライアッシュをアミンなどの有機塩基性化合物をともに高温(120〜160℃)高圧(10〜20気圧)で反応させるとZSM-5も生じることが明らかとなった。原料の石炭灰-反応条件-生成物のゼオライト、の、3つの関係を明らかにしつつある。石炭灰のゼオライト化反応機構を解明を手がけている。
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