1.セファロスボリン誘導体 セファロスポリン系抗生物質の工業的生産のための出発原料である7-アミノセファロスポリン酸(7-ACA)についてはすでにその生産プロセスが確立されているが、本研究では、その3位の側鎖について、選択的脱アシル化、脱アシル体のメトキシメチル化及び副産物として生成するラクトン体の水酸化と脱アシル化について検討を進めた。特に、新たに見いだした3位アセトキシメチル基の水解酵素によるデアセチル7-ACAのアセチル化について詳細に検討し、水解酵素生産のための培養条件の設定並びに7-ACA生産のための反応条件の設定に関する成果を上げることができた。 2.トラネキサム酸合成プロセス 止血剤としてその用途が急速に拡大されつつあるトラネキサム酸の工業的生産プロセスについて、1、4-ジシアノシクロヘキサンを原料とする新たに開発した酵素的プロセスについて更に検討を進め、ニトリルヒドラターゼ及びアミダーゼの性質に関する新たな知見を加えることにより、トランス-4-シアノシクロヘキサン-1-カルボン酸の生産効率を高めることができた。 3.ビタミンK_3 石油留分に含まれる2-メチルナフタレンを出発原料として、飼料添加用合成ビタミンKとして利用されるメナジオン(ビタミンK_3)を生産するプロセスを開発することを目的に、2-メチルナフタレン酸化能を持つ菌株のさらなるスクリーニングを行い、中間体である2-メチル-1-ナフトールを選択的に生産する培養条件、反応条件を設定することができた。更に、2-メチル-1-ナフトールがメナジオンに酸化される現象も明らかにすることができた。
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