研究課題/領域番号 |
04453134
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
林田 晋策 九州大学, 農学部, 教授 (50038197)
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研究分担者 |
吉野 貞蔵 九州大学, 農学部, 助手 (80117291)
古川 謙介 九州大学, 農学部, 助教授 (90221556)
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キーワード | アミラーゼ,生澱粉分解性の / セルラーゼ,アビセル分解性の / degenerate株 / ブタノール細菌,異常発酵 / ホモタリズム,遅延性の / 接合,二倍体酵母細胞の / 高次倍数体,育種 / 酵母育種法,高次倍数体の |
研究概要 |
1.生澱粉の酵素分解機構の解明:グルコアミラーゼ(GAI)の生澱粉分解には、特異な生澱粉親和部位が必須である。生澱粉吸着能をもつCp領域(Ala^<515>-Arg^<615>)が生澱粉表面のラセン構造をもつミセルの二級水酸基を認識してラセン内孔と包接的に結合し、そのKdから一種のES複合体と考察され、ラセン構造に局所的な歪みを生じさせ、同時に包接水の放出によって分子内水素結合を切断した。一方、生澱粉分解を促進するGp-I領域(Ala^<418>-Val^<514>)は、生澱粉表面に接触し、その特異的構造により単分子化された水分子はミセル間の水素結合を切断し、かくて遊離された水和澱粉分子が触媒部位にfitして、分解が進行することを明らかにした。 2.微結晶セルロースの酵素分解機構の解明:TrichodermaエンドセルラーゼIIIは、既往と異なりセロトリオースと糖転移を行った。アビセルからエキソセルラーゼIにより遊離されるセロビオースをトリオースに転移して効率よくグルコースを生成し相乗的にアビセル糖化を行った。 3.ブタノール細菌の内因性異常発酵:ソルベント生成能の低下したdegenerate株の増巾起因と生理学的特性を明らかにし、平板培養コロニーの形態による選抜と胞子形成による野生株の純化法を創案し、新開発の高効率形質転換ベクターの導入によるdegenerate株の正常野生株への変換を行った。 4.高エタノール耐性酵母の同質二倍体化現象の発見:まずホモタリズムと異なり、長期にわたり一倍体のまま安定に増殖した後、mating typeの転換を起して二倍体化する遅延性ホモタリズムを見出し、HO遺伝子の構造変異に起因することを確証した。さらに、胞子発芽期の熱処理による高頻度同質二倍体化を見出し、起因を解明した。またそれによる高次倍数体の高効率な育成法を確立し、有用酵母の育種に成功した。
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