フェノールとユリアをホルムアルデヒドで共縮合させる新しい合成法を検討した。すなわち、ユリアと過剰量のホルムアルデヒドより得られるUF-コンセントレイトを原料とし、これにフェノールを加え酸性下で反応させると両者の共縮合率の高い樹脂が得られることが判明した。また、UF-コンセントレイトは、通常強酸性下で合成されるが、この段階でユリア自身の自己縮合が生じることが、GPCとCNMRの分析により確認された。一方、塩基性下でUF-コンセントレイトを合成すると、この自己縮合を抑制することが可能であり、同時に、フェノールとの反応で自己縮合率の低い共縮合樹脂を合成できることが確認された。さらに、酸性下で合成されたこの共縮合樹脂は、縮合率が高くなると水溶性が悪化する傾向があるが、塩基性下で熱処理すると水溶性フェノール樹脂と同様のレゾール型の安定した水溶性樹脂となることが見出された。この樹脂の分子量分布と化学構造を分析し、共縮合率が高く安定性に優れる合成条件を決定した。 次に、このレゾール型共縮合樹脂の硬化過程と硬化後の物性をTBA法を用いて検討したところ、市販の水溶性フェノール樹脂と類似の硬化挙動を示すと同時に、硬化後の耐熱性もそれと同様に優れていることが確認された。また、市販のフェノール樹脂とユリア樹脂を機械的にブレンドした樹脂は、ユリア樹脂と同様な硬化挙動を示し、硬化後の耐熱性もユリア樹脂と同様に低かった。これらのことより、化学的に共縮合することの効果が確認された。さらに、今回開発したレゾール型共縮合樹脂を用いて合板を作成し、木材接着性を評価したところ、繰返し煮沸試験ならびに72時間連続煮沸試験においてJASならびにJISの規格値を越える性能を有し、JASの構造用合板特類の接着剤として適合することが判明した。
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