本年度の研究は、塩基性下でユリアと過剰のホルムアルデイドより調製される一種のユリア樹脂であるUF-コンセントレイトを種々の条件で合成し、これらを原料としてフェノールと酸性下で反応させ共縮合樹脂を合成する方法を検討した。得られるUF-コンセントレイトと共縮合樹脂の化学構造をC-13 NMRとGPCを用いて分析し、合成条件と化学構造の関係を明らかにした。その結果、UF-コンセントレイトの合成は、酸性下では、pHが高いものほど安定した樹脂が得られたが、これはpHが低い場合ユリアの自己縮合率が高くなり、縮合物が反応液から沈澱するためと確認された。一方、塩基性下では、縮合を抑制でき安定した樹脂が得られることが判明した。共縮合樹脂の合成では、酸性度が低すぎると縮合率を制御することが難しく、水溶性が悪化した。共縮合樹脂のレゾール化後の水溶性は、塩基性で合成したUF-コンセントレイトを用いた場合に優れていたが、これは最終樹脂におけるユリアの自己縮合が低いことによると確認された。 接着性能を検討した結果、一般に、塩基性下で合成したUF-コンセントレイトを原料とした場合のほうが、塩基性下で合成した場合より、接着強度が高くなることが確認された。また、接着剤として最適な最終合成モル比が、ユリア/フェノール/ホルムアルデヒド=4/1/1の近傍にあることを確認した。さらに、接着性能面からは、JASの構造用特類合板の接着剤として適合した。市販のユリア樹脂と水溶性フェノール樹脂を機械的に混合した接着剤と比較することにより化学的に共縮合させる効果が確認された。
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