研究概要 |
平成4年度に引き続き、担子菌および植物より1)抗腫瘍活性(細胞毒性)2)酵素阻害活性(5-リポキシゲネース、モノアミンオキシデースなど)3)グルタミン酸アゴニスト、アンタゴニスト活性を指標とし、新規活性物質の探索をい種々の活性化合物を単離し、それらの構造決定を行った。また、先にニセクロハツ(Russula subnigricans)より得たルスフェリンの水溶性化と誘導体の合成を行い、極めて活性の増強された誘導体を得ることができた。作用機序については検討中である。ある種の放線菌より得た化合物ネオカルジリン類の構造を確認し、化学合成によりその立体化学を決定した。これらはトリクロロメチル基も含む新規な構造を有しA452、KATOIIIなどのセルラインに対し、強力な生育阻止作用を示した。 グルタミン酸の生理機能を研究する際のツールとなり得る新規アゴニストおよびアンタゴニストの単離を目指して、数種の担子菌のアミノ酸画分について検討を加えた。その結果、代表的な有毒担子菌、ドクササコ(Clitocybe acromelalga)からアクロメリン酸D、Eと、アクロメリン酸類の生合成前駆体であり、キスカル酸サブタイプのアンタゴニストでもあるスチゾロビン酸およびスチゾロビニン酸を単離した。また、C-4位の置換基がアクロメリン酸類とは異なる新規カイノイドを単離した。さらに、マメ科植物に含まれる神経毒として知られているβ-シアノアラニンとそのγ-グルタミルペプチドを単離した。また、テングタケ(Amanita pantherina)からは、NMDAサブタイプに対してアンタゴニスト作用を示す(2R),(1'R),(2R),(1'S)-2-amino-3-(1,2-dicarboxyethythio)propanoic acid(R,R-ADPA、R,S-ADPA)を単離した。今回単離したグルタミン酸アゴニストおよびアンタゴニストの作用の詳細については、今後さらに検討する予定である。
|