研究概要 |
a)すでに開発したキラルスルフィニルエテン類とジエン類との反応を超高圧反応条件下、行った。従来法では環化付加を達成できなかったジエン類(フラン誘導体、ピロール誘導体、低反応性非環状ジエン類)の場合にも、超高圧条件下では環化付加成績体を与える場合もあり、現在その選択性の検討を行っている。常圧での反応結果と比較して、選択性の差異を明らかにしつつ、効率的な不斉炭素骨格構築法を確立するための知見を集積しつつある。 b)1,3-双極付加については、選択すべき1,3-双極子とジボラロフィルの反応性に所謂matched pair-mismatched pair conceptが適用できることを明らかにしつつある[この可能性については既にTetrahedron:Asymmetry 2,1379(1991)に発表]。本年度の検討の結果、キラルスルフィニルマレエイトとピペリン-1-オキシドはmatched pairであり、高ジアステレオ選択的に1,3-双極付加成績体を与えることが明らかになった。 c)スルフィニルマレイミドとシクロペンタジエンおよびフランとの環化付加成績体に対して官能基変換後、アシルイミニウム付加による増炭反応の後、レトロディールス・アルダー反応を鍵反応として数種のインドリチジン、ピロリチジン、ピロリジンアルカロイドのキラル合成を達成した。 d)最近新たに見い出したイソボルネオールを不斉補助基とするキラルセレノキシドの合成法の一般性を確立するとともに、その手法を用いてセレノキシドを不斉補助基とするキラルジエノフィルの合成を検討した。成績体が不安定で現在その単離には成功していない。
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