研究課題/領域番号 |
04453160
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物質生物化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 康男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (30004336)
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研究分担者 |
北島 健 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80192558)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | KDN(デアミノノイラミン酸) / KDN-複合糖質の造成 / KDN-糖タンパク質 / KDN-糖脂質 / KDN-ガングリオシド / KDN-転移酵素 / Galβ1→α2→3KDN転移酵素 / CMP-[^<14>C]KDN(_<14>C-ラベルKDNドナー分子) |
研究概要 |
KDN-転移酵素活性の検索は(i)(KDN)GM3 ガングリオシドを細胞表面に発現しているニジマス精子および精子形成過程の発生ステージを異にする精巣、ならびに(ii)KDN残基の存在の最初の発見例となった糖タンパク質が局在するニジマス卵および卵巣を用いて行った。先ず、これらKDN-転移酵素活性の検知を容易に可能にするにはKDN-転移反応のドナー分子となるCMP-[^<14>]KDNの酵素的調製法とアッセイ法の確立が不可欠であり、平成4年度の本研究によってこの目的を達成した。その結果、ラクトシルセラミドにKDN基を転移し(KDN)GM3ガングリオシドの形成に与るガラクトシル:α2→3KDN転移酵素活性の他、(NeuAc)GM1をアクセプターとするKDN-転移活性の存在を見出した。ガラクトシル:α2→3KDN転移酵素活性を指標にし、精子形成過程における酵素活性および(KDN)GM3の発現パターンを調べた結果、発現が最大となるステージは(KDN)GM3の形成が最大となる成熟精子形成時期よりも2ヶ月先行していることが判明した。これらの実験結果を踏まえ、ガラクトシル:α2→3KDN転移酵素活性活性発現の最も盛んなステージの精巣を酵素源として(群馬県水産試験場のニジマス2年魚の場合、8月に採取)、種々の糖脂質・糖タンパク質を細胞外アクセプターとして用い転移活性を調べることによって、アクセプター特異性に関する詳細なin vitro系での作用機構を明らかにすることと、転移酵素の部分精製を行った。その結果、上記の通り複数種のスフィンゴ糖脂質がアクセプター脂質となる他、アシアロトランスフェリン、アシアロムチンにもKDN残基が取り込まれることが明らかとなった。従って、ニジマス精巣には基質特異性を異にする複数種のKDN-転移酵素活性が存在すること、これらの作用によって新しいKDN-複合糖質の造成が可能であることが示された。同様な研究計画は、α2→8-結合poly(KDN)鎖および、α2→8-結合poly(NeuGc)鎖の非環元末端にKDN基が1残基キャップした構造の糖鎖をもつ糖タンパク質を発現しているニジマス卵巣の系についても詳細な実験を行った。
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