研究課題/領域番号 |
04453164
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石榑 顕吉 東京大学, 工学部, 教授 (90010975)
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研究分担者 |
浅井 圭介 東京大学, 工学部, 助手 (60231859)
広石 大介 東京大学, 工学部, 助手 (20199110)
勝村 庸介 東京大学, 工学部, 助教授 (70111466)
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キーワード | LB膜 / シアニン色素 / J会合体 / 放射線分解 / エネルギー移動 / パルスラジオリシス |
研究概要 |
1. 石英及びマイラーフィルム上に単分子膜としてアラキン酸1層積層後、1メチル、1'オクタデシル22'シアニン(シアニン色素)を多層に積層した試料を作成し、色素中のJ会合体の重量分率(以下J分率)を分光分析法により定量することを可能とした。展開条件を制御することにより、石英試料のJ分率を5〜75%で制御することができた。 2. 上記石英試料にAr雰囲気でガンマ線照射を行い、J会合体及びモノマーの分解量を分光分析で追跡した。J会合体及びモノマー分解のG値は、粉末状態の色素より2桁以上大きな値となり、各々J分率の増大とともに増加及び低下する傾向を示したが、どちらも実験誤差を上回る大きなバラつきが見られた。 3. 石英基板試料のこの異常に大きなG値が基板から色素へのエネルギー移動によるると考えて、基板をマイラーに換え同様の実験を行った。J会合体及びモノマー分解のG値は石英を基板とする場合と同じ大きさで、同じJ分率依存性とほぼ同じバラつきを示した。この事実は異常に大きな分解G値が基板からのエネルギー移動によって説明できない事を示している。 4. 石英基板に積層した試料の蛍光顕微鏡観察を行った。J会合体はモノマー中で集合して、数10μmから数μmのドメイン構造を作り、島・海構造を取っていることが明かとなった。色素分解G値のバラつきは、このドメイン構造の分布によると推定された。 5. 色素の放射線分解機構を明らかにするため、色素の水・エタノール溶液中でのガンマ線分解とパルスラジオリシスを行った。色素は水和電子と反応が遅く、ラジカルとの分解反応は早いことが判った。
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