研究課題/領域番号 |
04453164
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石榑 顕吉 東京大学, 工学部, 教授 (90010975)
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研究分担者 |
浅井 圭介 東京大学, 工学部, 助手 (60231859)
広石 大介 東京大学, 工学部, 助手 (20199110)
勝村 庸介 東京大学, 工学部, 教授 (70111466)
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キーワード | LB膜 / シアニン色素 / J会合体 / 放射線 / XPS / GaAs / 蛍光顕微鏡 |
研究概要 |
1.石英基板上にアラキン酸及び、シアニン色素を積層したLB膜のJ会合体及びモノマーの光照射の分解の光量子収率を測定し、いずれも10^<-6>〜10^<-8>と極めて小さい値であることを確認した。 2.上記LB膜のガンマ線照射前及び後の構造変化を蛍光顕微鏡によって観察した。J会合体が作るドメイン構造はLB膜調整条件によってある程度制御可能であること、J会合体のガンマ分解はこのドメインのサイズと分布に密接に関連することが明らかとなった。今後ドメイン構造の定量的な評価とその反応性と関連を明らかにする予定である。 3.ドメイン構造のよく発達したLB膜を原子間力顕微鏡で観察した。LB膜中の一部の領域に幅10A程度、長さ数10Aの規則的な周期構造(縞模様)が認められた。縞目はJ会合体に対応し、J会合体の直接観測に成功したものと考えている。今後顕微鏡写真の分解能を上げる努力をする。 4.石英基板上のシアニン色素LB膜につき、Ar中及び真空中でガンマ線及び電子線照射を行って、LB膜中のシアニン色素の分解に気相(Ar)の放射線分解が深く関与していることを明らかにし、生成するAr^+の寄与が大きいものと推定した。 5.シリコン基板上にアラキン酸を積層したLB膜のXPSの観測からアラキン酸と表面シリコンとの間にサブフェーズ相より取り込まれたCdを通して、強い化学相互作用が存在することが明らかとなった。 6.GaAs基板上にジオクタデシルジチオカルバミン酸を積層し、GaAs表面のダングリングボンドを処理し、合わせて安定な絶縁層を形成して、MIS素子をめざすことを試みた。電析法によって安定な膜が形成され、XPS測定よりカルバミン酸中のSと基板表面のAsとの間に化学結合が形成され、フォトルミネッセンス法によりGaAs表面の準位密度が低減したことが確認された。今後更に膜形成の最適化をはかり準位密度の測定を進める。
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