研究課題/領域番号 |
04453167
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
豊島 喜則 京都大学, 総合人間学部, 教授 (60013166)
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研究分担者 |
椎名 隆 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (10206039)
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キーワード | 光合成 / 電子伝達 / 光化学系II / QA / Lタンパク質 / psbC / psbD / 転写制御 |
研究概要 |
本研究では光合成光化学系II(PSII)における電子伝達制御機構のうち、1)速い応答の調節と、2)複合体の生成と消滅による調節に焦点を合わせ、前者については調節に関わる因子の同定を行い、後者については複合体生成の光による転写レベルでの制御を中心に調べた。1.PSIIからQAの本体であるプラストキノン-9(PQ-A)を遊離させた後、機能的に再構成する方法をさらに改善し、その方法を確立した。この方法を用いてFTIRスペクトルの測定からQAと相互作用しているアミノ酸残基を推定する事ができた。さらに、QAの機能を発現するには、5kDaのLタンパク質(psbL)が必須であり、このタンパク質がQAへの電子移動調節因子として作用していることを明らかにした。また、Lタンパク質を部位特異的プロテアーゼで処理することで、このタンパク質のC末端側はその機能に直接関与しないことを示した。さらに、Lタンパク質のリン酸化がその機能調節に関わっている可能性を探ると同時に、変異を導入したLタンパク質を大腸菌で大量発現させ、これをコアーに再構成することで、Lタンパク質の機能に直接関与しているアミノ酸残基の同定を試みている。2.葉緑体のpsbD/C遺伝子クラスターの光応答プロモーター(D/C-3)からの転写は光照射後のプラスチド抽出物中に存在する制御因子によって活性化される。この因子を葉緑体RNAポリメラーゼから分離して部分的に精製する手法を確立し、さらにこの因子を葉緑体RNAポリメラーゼあるいは大腸菌RNAポリメラーゼと組み合わせることでD/C-3プロモーターからの転写がin vitroで活性化されることを確認した。このアッセイ系を用いて、転写制御因子を含む画分をさらにイオン交換カラムを用いて精製し、精製度をさらに高める事に成功した。また、ゲルシフト実験から、転写開始点の135bp上流までの領域に特異的に結合するDNA結合タンパク質が存在する事が分かった。
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