研究課題/領域番号 |
04454017
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物生理学
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
西村 幹夫 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (80093061)
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研究分担者 |
林 誠 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (50212155)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | セネッセンス / グリコール酸オキシダーゼ / グリオキシゾーム / オルガネラ分化 / 免疫電顕法 / マイクロボディ機能転換 / 緑葉パーオキシゾーム / アコニターゼ |
研究概要 |
本研究は、緑化及びセネッセンス時にカボチャ子葉組織にみられるマイクロボディの機能転換の分子機構を明らかにすることにより、植物組織のオルガネラ分化を分子レベルで理解することを目的としている。2年間の研究により、以下の知見が明らかとなった。 緑葉パーオキシゾーム酵素であるグリコール酸オキシダーゼのcDNAクローニングとその構造解析から同酵素の一次構造を明らかにするとともに、immunoblot及びNorthern blot解析により、子葉の緑化過程における同酵素の活性増大がmRNA量の増加による同酵素蛋白質量の増大に起因することを明らかにした。この知見は、マイクロボディ機能転換において、転写レベルの調節が働いていることを示唆したものである。 グリオキシル酸サイクルの酵素、アコニターゼに関してカボチャ黄化子葉には3種のアコニターゼのアイソザイムが存在することを明らかにした。そのうち2種のアコニターゼアイソザイムを数種のカラムクロマトグラフィーにより精製し、その蛋白質化学的性質、酵素化学的性質を解析するとともに特異抗体を用いてアコニターゼの細胞内局在性を解析した。この抗体は他の2種のアイソザイムとも反応性を示したが、単離したグリオキシゾーム画分には反応性のあるポリペプチドは検出できなかった。この知見から、グリオキシル酸サイクルの一員として働いているアコニターゼは、他のグリオキシル酸サイクルの酵素と異なり、グリオキシゾームに局在していないことが示唆された。 子葉のセネッセンス時に緑化時とは逆のマイクロボディ機能転換(緑葉パーオキシゾームからグリオキシゾーム)が生じるが、機能転換時のマイクロボディには、緑葉パーオキシゾームに特異的な酵素とグリオキシゾームの特異的な酵素が共存していることを明らかにした。この知見は、子葉の緑化時に観察されるグリオキシゾームから緑葉パーオキシゾームへの機能転換と同様に、マイクロボディに機能転換が直接的に生じていることを示しており、子葉の緑化時及びセネッセンス時にみられるこのオルガネラの機能分化において、共通する調節機構が介在していることを示唆するものである。
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