研究概要 |
1.アフリカツメガエルの精子核塩基性蛋白質SP4のcDNAをプローブとして行ったゲノムDNAのサザン解析から、SP4遺伝子はゲノム上の約20kbにわたる領域にタンデムに5ケ並んでいることが前年度に示された。これらのうち、第2〜4番目の3つの遺伝子をふくむ10,165塩基対のすべての配列をしらべた結果、(1)各遺伝子は互いに約3kb隔てて並ぶ、(2)5'上流域に典型的なTATAおよびCCAT配列、および3'下流域にポリAシグナルをそれぞれもつ、(3)5'上流域の約400kbにわたる範囲に85%以上の相同性をもつ領域が3ケ所存在すること、等が明らかになった。 2.上記5ケのSP4遺伝子のうち最も上流に位置するものは1ケ所でGからTへの塩基の置換を示し、そのためAlaからSerへのアミノ酸の置換が起こっていると推定された。そこで精子核から得た酸溶性成分を逆相HPLCで分画し、それらのペプチドマッピング、部分的アミノ酸配列決定などから遺伝子の変異にもとずくSP4の変異体が確かに存在し、しかもこの変異体とSP4との量比はゲノム上の遺伝子の数を反映してほぼ1:4であることが明らかになった。 3.成熟精子核に含まれるSP5とSP4(変異体を含む)の量比は約1:5である。すでに得ているSP5のcDNAをプローブとして、数種類の制限酵素で切断したゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーションを行ったところ、SP5遺伝子はゲノム当たり1ケのみ存在し、最終的な翻訳産物の量比とよく対応することが明らかになった。そこで精細胞で生産されるmRNA量を比較するため、SP4およびSP5のcDNAをもとにそれぞれに特徴的な塩基配列に相補的な合成ヌクレオチド(40塩基)を作成し、これをプローブとしてS1ヌクレアーゼプロテクション解析を行った結果、mRNA量でもSP5はSP4の1/5存在することが確かめられた。
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