研究課題/領域番号 |
04454027
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山名 清隆 九州大学, 理学部, 教授 (20037162)
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研究分担者 |
弓削 昌弘 福岡女子大学, 家政学部, 講師 (80220523)
野村 一也 九州大学, 理学部, 助教授 (30150395)
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キーワード | 背腹軸 / 体軸 / アフリカツメガエル / 初期発生 / デターミナント |
研究概要 |
われわれは以前に、アフリカツメガエル初期胚の背側細胞細胞質が背腹軸を誘導する活性をもっていることを示した。この活性をもつ分子を同定し、その作用機作を明らかにすることを目的としてこの研究ははじめられた。 本年度明らかにしたことは、次のとおりである。まず、初期胚を多量に集め、その可溶性分画を調整し、さらにゲル濾過カラム(TSK-GEL4000SWLX)をもちいることによって分子量の異なるいくつかの分画に分けた。得られた各分画の背腹軸誘導活性をアツセイしたところ、タンパク質の比較的少ない分画3に大部分の活性が回収されていることがわかった。この分画3の活性はRNアーゼA処理によっては低下しなかったが、プロテイナーゼK処理によっては半分以下に低下した。この分画3をさらに精製して、活性をになっている分子を同定する。 他方、活性をになう分子の本体やその作用機作を理解するうえで重要な情報となる活性の出現時期や分布についても、興味深い結果が得られた。すなわち、活性は受精直後の卵の植物極付近にまず出現する。そして、その後、胚の将来の背側の赤道域に分布するようになる。つまり、活性はある時期に卵のなかを移動するのである。この移動は表層回転とほぼ同時におき、しかもそれに依存している。もし表層回転を止めると、活性の移動も止まり、背腹軸の決定も妨げられる。このことから活性の移動に何らかの方法で表層回転が関与していること、そして、活性の移動が背腹軸の決定にとって必須であることが示唆された。
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