研究課題/領域番号 |
04454028
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物生理・代謝
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
桑沢 清明 東京都立大学, 理学部, 教授 (10015589)
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研究分担者 |
黒川 信 東京都立大学, 理学部, 助手 (50211222)
矢沢 徹 東京都立大学, 理学部, 助手 (30106603)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | 筋原性心臓 / 囲心のう / アメフラシ / ウミフクロウ / カイコ / 逆行性伝導心臓拍動 / セロトニン様免疫反応 / 胚神経 |
研究概要 |
1.ヒザラガイ(Liolophura japonica)は軟体動物の主要分類群のうち最も原始型の原始腹足類に属している。軟体動物を用いた多くの循環系に関する研究は上位に位置する腹足類、二枚貝類、頭足類に属する種に限って進められてきたので、このヒザラガイを用いた研究は特筆に値する。(1)心臓は筋原性拍動を行うが、中枢である側神経索および内蔵神経索からそれぞれ興奮性および抑制性の二重神経支配を受けている。(2)囲心嚢は律動的拍動を示し、心臓同様両神経索からそれぞれ興奮性および抑制性二重神経支配を受けている。囲心嚢の活動電位は緩徐脱分極性電位に先行されるので囲心嚢の律動は筋原性であると結論される。この囲心嚢の筋原性律動は軟体動物で初めてで他に知られていない例である。(3)心臓および囲心嚢の興奮性神経支配はUMLによって阻害される。心臓および囲心嚢にセロトニン様免疫陽性神経プロセスが明瞭に観察された。これらのことは興奮性神経筋伝達がセロトニンによって介在されることを示している。(4)心臓および囲心嚢の抑制性神経支配はアセチルコリン阻害剤投与によって消失するので、アセチルコリン作動性神経によるものであると推定した。一方FMRFamide、CARPは心臓、囲心嚢の活動を抑制した。両組織内でFMRFamide様およびCARP様免疫陽性神経プロセスを発見した。従って両ペプチド作動性神経が心臓および囲心嚢の抑制神経である可能性、またはアセチルコリンとペプチドの共存する神経による支配の可能性も否定できない。2.アメフラシの循環系に関わる腹部神経節内のニューロンL7の鰓神経節ニューロンへの接続を証明した。またこのニューロンによる鰓筋肉の活性化を抑制するニューロンを腹部神経節内で同定した。3.軟体動物腹足類ウミフクロウの心臓興奮性神経の伝達物質と推定されるセロトニン含有ニューロンの発生過程における消長を免疫細胞化学的方法で分析した。4.カイコの順行性心臓拍動は筋原性であるが、逆行性拍動を惹起するニューロンを前頭神経節内で同定した。
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