研究概要 |
ツメガエルとイモリ胚の予定外胚葉である末分化細胞を用いてアクチビン処理を行った。今年度はアクチビン処理(10ng/ml)を行って初めて外植体に心臓を分化誘導することができた。またアクチビン(10ng/ml)とレチノイン酸(10^<-5>M)を混合して外植体に与えると原腎管が100%分化誘導することを見つけた。腎管(腎臓)の分化誘導を行うことは発生生物学のノフの夢であったが,それを可能にした。またツメガエルの原腸胚からC-DNAライブラリーの作製を行った。神経分化に関与する遺伝子を新しくとるためにアクチビン処理した外植体と末処理の外植体とのサブトラクションを行うことによって新しくいくつかのC-DNAをとることができた。一方,ツメガエルのXTC培養細胞株の培養上清から新しくアクチビンA,AB,Bおよびフォリスタチンをタンパク質として初めて単離・精製することができた。従来までこの培養上清中にアクチビンAのm-RNAがあることはわかっていたが,このようにしてネイティブなタンパク質として単離したのである。その結果,従来のフォリスタチンとは異ってN-末端のアミノ酸配列等が明らかになった。また,これら3種類のアクチビンとフォリスタチン,アクチビンレセプターについて13〜15個のアミノ酸の合成ペプチドをつくり,各々についてのポリクローナル抗体をつくることができた。これらを用いてツメガエルの成体の色々な臓器や卵,胚などの免疫組織学的研究がなされた。その結果,腎臓,精巣,脳下垂体などにおいてアクチビン,フォリスタチン,アクチビンレセプターが共に存在し,局在性において非常に異なる分布を示していた。このことはアクチビン関連タンパク質が各々の臓器の構造と機能に大きく関与している可能性を示している。またアクチビンA,Bともすでに卵形成中にこれらのタンパク質が卵母細胞中に貯臓され,母性因子として存在していることを示した。
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