アクチビンは未分化細胞であるアニマルキャップ(予定外胚葉片)に対して、低濃度(0.1-0.5ng/ml)では腹側の血球や体腔内上皮、中濃度(1-5ng/ml)で筋肉や神経、高濃度(50ng/ml)で背側の脊索を分化誘導する。まずツメガエルの初期胚(st.1-5)1万個から生化学的方法をつかってアクチビンおよびフォリスタチンの単離、精製を行った。フォリスタチンはアクチビンの約40倍の量が存在し、1個の卵当り、アクチビン約1pg、フォリスタチンは約40pgがすでにタンパク質の形で存在している。またアクチビンとレチノイン酸の混合によって原腎管の分化を誘導することをみているが、この時、単に形態学的な分化だけでなく、XlimlやXlcaaxの遺伝子も正常胚の原腎管とまったく同じように発現していることがわかった。また、アクチビンは未授精卵の卵黄小板のなかに存在していることが、アクチビンの抗体を用いて免疫電顕によって調べられた。アクチビンが卵黄タンパク質であるビテロジェニンとも結合するので、アクチビン-フォリスタチン-ビテロジェニンの複合体と卵形成時の蓄積と発生過程での活性化が重要であることが示唆された。また初期発生におけるアクチビン応答遺伝子としてsonic hedgehogの遺伝子のクローニングや神経形成に関与する新しい遺伝子もいくつか解析され、大きな成果を得た。
|