本研究は哺乳類のX精子とY精子を確実に分離し、できれば分離精子を用いて実験動物で産仔を得ることを目的としている。本年度はマウスを飼う為の動物飼育設備を整備することができた。またヒト精液が安定的に供給されるようになった。ところが無担体電気泳動装置にいろいろと故障が生じ、部品をドイツから取寄せるなどしたため稼働時間が短く、現在のスタッフの手によるX、Yの分離が充分満足できる状態に達しなかったこの点は鋭意努力中である。XおよびY染色体に特有なシーケンスに対する蛍光プローブを用いてのin situ hybridization(FISH)に関しては、ヒト精子を材料にその技術を確立したので、分離が行なわれ次第検定を行なう予定である。この間パーコール法によって分離した心算りのサンプルをアメリカ合衆国の方にFISH用に送ったが、予期した結果が得られなかったので、再度調製し独自に検討を行なうことにしている。マウス卵への精子の注入に関しては、電気的な技法を用いて可能かどうかの予備実験を行なった。
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