研究課題/領域番号 |
04454038
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
育種学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武田 元吉 東京大学, 農学部, 教授 (90134501)
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研究分担者 |
堤 伸浩 東京大学, 農学部, 助手 (00202185)
高野 哲夫 東京大学, 農学部, 助手 (30183057)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 種子の遺伝的改良 / 食品加工適性 / ダイズリポキシゲナーゼ / オオムギαアミラーゼのRFLP / 欠失突然変異 / アンチセンス |
研究概要 |
本研究は種子作物について、登熱過程から収穫後の変質加工適性に亘る品質形質を対象として、主に生化学的手法や分子生物学的手法を用いて、育種技術開発のための基礎研究を展開したものである。 1)イネ(田中、大坪):胚乳貯蔵タンパク質は、前駆体が持つ特定のシグナル配列によってPB-1.(プロテインボデイ1.)やPB-2.への集積が決定されていることが判明した。種子に含まれるズプチリシンインヒビター(RSI)を精製し、全アミノ酸配列を決定した。さらに、RASI抗体の調整と酵素抗体検出法を確立し高感度選抜法を開発した。RASIはBASIと違って内在性アミラーゼ阻害活性はないが、害虫アミラーゼ阻害活性があった。2)コムギ(野田、小田):遺伝的に休眠の弱い種子は、登熱後期に胚のABAや乾燥のシグナルに対応した発芽抑制物質に対する感受性を失い、吸水すると発芽してしまう。感受性の変化は、発芽抑制物質のシグナルを受ける受容体の変化である可能性が高い。コムギ粒のフライアビリン(分子量15kDaのデンプン表層付着タンパク質)を少量含む品種と大量に含む品種とがあり、前者は硬質性の傾向があり、1遺伝子によって支配されている可能性が高い。3)オオムギ(佐々木、武田):国内外の品種・系統の中から、種子のβ-グルカンが低いものや麦芽のβ-グルカナーゼ活性の高いものなど、未利用の遺伝資源を多く見出すことができた。発芽種子のβ-グルカナーゼ活性のジベレリン反応性(外生ジベレリンに対する反応性)も遺伝変異が大きいことや、この反応性が特異的に高い品種がα-アミラーゼの反応性も高いことを確かめた。4)海妻、喜多村、高野):多数の品種・祖先種や人為突然変異の探索と交配によって、貯蔵タンパク質の遺伝的改良を発展させ、7Sグロブリンについてはほとんどゼロ、11Sグロブリンについては交配により全欠系統を作ることが可能となった。収れん性の不快味のもとであるイソフラボン成分の抑制の研究に着手し、まず栽培高温環境の影響を明らかにした。リポキシゲナーゼ欠失突然変異の分子機構を検討し、L-2欠失のメカニズムの特異性を明らかにした。
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