研究概要 |
グルテリン変異選抜法の確立:SDS-PAGEではアクリルアミド/BIS=15 %/0.06%-25%/0.65%の濃度匂配を有するグラジエントゲルで、IEFではアンフォライン(pH3.5-10:6-8:9-11=1:1:1)1.67%を含むゲルで最も鮮明な泳動像が得られた。グルテリン抽出は1%乳酸で行い、粒単位でIEF分析に十分な試料を得る手法を確立した。改良した電気泳動法を用いグルテリンの蛋白質化学的性質を調査した。両サブユニットは分子サイズが異なる3種のタンパク質から構成され、酸性サブユニットは14、塩基性サブユニットは10種のポリペプチドから構成されることを明らかにした。 変異の選抜: MNU室然変異処理後代のSDS-PAGE分析の結果、グルテリン前駆体57kDaポリペプチドに関する変異体とともに、酸性サブユニットに関する幾つかの変異体を選抜することができた。一方、在来品種についてSDS-PAGEおよびIEF分析を行ったところ、ポリペプチドの分子サイズや等電点に多様な差異を見いだすことができた。 変異体の遺伝子分析: 得られた変異体は何れも単一の不完全優性遺伝子支配であった。同座性検定及び三染色体分析交配を行い、多数の交配種子を得た。 変異体グルテリンの分子特性:3種類の変異体(EM278,EM659,CM1707)は共通してIEFバンド7のポリペプチドが欠損し、EM287とEM659では特定のポリペプチドの含量が増加し、CM1707は他のポリペプチドには変化が無いことが明かとなった。 グルテリン抗体の調製: グルテリン分子は多形性を示し、分子サイズで精製したグルテリンを抗原として調製した抗体ではグルテリンの多形性を生化学的に正確に同定することができない。そこでグルテリンをIEFで分離した個々のバンドの精製法を検討した結果、アガロースを用いたIEFによりきわめて純度高く、しかも多量に得ることができた。
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