インド独自の雑穀とそれらの雑穀擬態随伴雑草の種間および系統間比較をおこない、インド独自の雑穀の起源や分化の様式を探ろうとするものである。 インドのオリッサ、カルナタカおよびアンドラ・プラデシュ州において採集したキンエノコロSetaria glaucaの栽培型の13系統および雑草型の32系統の計45系統を系統比較栽培した結果、出稲期、草丈、草型などの形質は系統間差が大きかった。栽培型には、稈長および止葉が大きい系統、稈長は長いが止葉が短い系統、さらに稈長は短いが止葉が長い系統の3型が存在することが判明した。これに対し、雑草型は極めて変異が大きく連続的で、特徴ある系統群は見い出せなかった。 コドミレットが属するPaspalum scrobiculatum の栽培型、陸稲擬態随伴雑草型および雑草型の計33系統を系統比較栽培した結果、これらの3型には極めて明瞭な特徴があることがわかった。栽培型は種子休眠性はほとんどなく、立性で、晩生なものは穂が長く、小穂の配列は不規則な2〜4列であるが、雑草型は匍匐性で、早熟で、小穂は規則正しい2列の配列であった。しかし、陸穂擬態随伴雑草型は休眠性はほとんどなかったが、その他の特性は栽培型と雑草型の中間的な特性を示した。 ニクキビ属Brachiariaの変異を調べた結果、前2者と同様の傾向を示した。 以上のことから、雑穀擬態随伴雑草は変異がきわめて大きく、栽培型と雑草型の中間的な諸特性を示し、まさに二次作物としての予備群であると位置づけられた。
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