アルファルファ、サトイモ及びエンバクは連作障害の発生しやすい作物として、またアレロパシー能を有する作物として知られている。本研究はこれら作物の連作障害と植物の有する化学物質との関係を究明することを目的としている。アルファルファについてはアレロパシー物質として、フエルラ酸及びサリチル酸を分離・固定した。これらのアレロパシー物質はアルファルファ地上部のみならず、その植生土壌にも存在することが確認された。また、両物質は低濃度においてもアルファルファの発芽及び初期生育を抑制すること、さらにこれら物質の同時施用によってアルファルファの初期生育が相乗的に阻害されることが認められた。これらの結果から、アルファルファの連作障害にはフエルラ酸及びサリチル酸などのアレロパシー物質が深く係っているものと推察した。 本年の実験で、サトイモの連作障害は4年の連作で顕著に現われること、またこの障害は土壌消毒(クロールピクリン及び殺線虫剤D-Dの同時施用)では完全に回避できないことが確認された。サトイモの連作障害もアルファルファ同様、アレロパシー物質が深く係っているものと考えられる。サトイモの地上部及び植生土壌の水ならびにメタノール抽出物はダイコン・カブの初期生育を著しく抑制することが認められ、サトイモには生長抑制物質が存在することが推定された。現在、サトイモ及びエンバクのアレロパシー物質の分離、固定を進めているが、構造決定の段階までは至っていない。
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