アルファルファ、サトイモおよびエンバクは連作障害の発生しやすい作物として、またアレロパシー能のある作物として知られている。本研究は、これら作物の連作障害と作物の有するあるいは作物から分泌される化学物質との関係を究明しようとするものである。 1.アルファルファ植生土壌及びその地上部の土壌混和処理はアルファルファの生育を抑制すること、またアルファルファの地上部の水ならびに有機溶媒による抽出液はアルファルファの生育を抑制することから、この作物の連作障害はアレロパシーに起因するものと考えた。アルファルファ植生土壌およびその地上部をメタノールで抽出し溶媒分画後、酸性画分について各種クロマトグラフィで単離後、機器分析器を用いてした同定した結果、フェルラ酸及びサリチル酸が認められた。これらの化合物はアルファルファの発芽および初期生育を有意に抑制することが観察された。このことから、これら2化合物はアルファルファの連作障害に深く係わっているものと推察した。 2.連作障害が顕著に発生するサトイモ圃場から土壌を採取し、理化学性及び線虫密度を分析・調査した結果、連作土壌と輪作土壌間に差異は認められなかった。このことから、サトイモの連作障害はアレロパシーに起因するものと考え、サトイモ由来の生育抑制物質の単離・同定を試みた。サトイモ植生土壌及びその地上部のメタノール抽出液には作物の生育を抑制する物質として、各種クロマトグラフィによる分析からP-クマリン酸が推定された。
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