本研究は、地域環境情報に関するメッシュ・データベース(地域環境データベース)を用いて、合理的な環境計画を策定するための評価手法を開発しようとするものである。 研究の初年度である本年は、首都圏、東京都、逗子市を事例に、地域環境データベースの構築を行った。具体的には、既存のデータベース(国土数値情報、細密数値情報など)に、オリジナルなデータを加え、またデータベース利用が容易なようにデータベース・マメジメントシステム(DBMS)の開発を行った。その結果、たとえば首都圏では、地価と環境評価の関係、東京都では、環境改善効果の評価、逗子市では、宅地開発における評価指針が得られるような、データベースの整備を行うことができた。 また、土地環境、生物環境、アメニティ環境について、評価手法を開発した。土地環境については、国土保全機能を評価する既存モデルを改善し、汎用性のある評価式を開発した。生物環境については、生態系の合理性、多様性に注目した評価基準を作成するとともに、それと動物分布の関係を明らかにした。さらに、アメニティ環境評価については、逗子市の住民、東京都民を対象に、アンケートを行い、住民によるアメニティ環境の評価と物的環境要因との関連を明らかにした。また、逗子市では視認性(市街地からみえる山林の眺望性)を評価し、景観的価値に基づく評価のあり方を検討した。 以上、今年度は、データベースの構築と、評価式の開発に重点を置いて研究をすすめた。次年度は、これを基礎に、環境計画への応用について研究を行いたいと考えている。
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