研究概要 |
本年度は.RAPDマーカー法の最適化、RAPDマーカー法によるウメ品種の親子鑑定と分類に関する研究を実施した。 サクラ属果樹の分類に本法を適用する場合.PCRを行うための適性濃度は3ng/ulであることが分かった。DNAの純度、ミネラルオイルの量との関係についても検討を加えた。 ウメの親子鑑定には、紅サシと竜峡小梅、そのF_1雑種9個体を供試して、RAPD分析を試みた結果、両親間の識別はプライマー当たり2‐4RAPDsと容易に識別できた。F_1雑種集団にみられるバンドは、すべていずれかの両親から由来するものであることが確認できたので、本法は親子鑑定に有効であると思われる。 ウメの品種分類については、小梅・台湾梅品種群、中梅品種群、大梅品種群、否梅品種群に大別し、RAPD分析を行った。小梅と台湾梅のグループは変異が小さく、アンズの形質はほとんど含まれていない。中梅品種群は、品種が育成された地域の差がはっきり示された。小梅、中梅ともに台湾梅とはグループが異なり.日本のウメは台湾とは別個に発達したものと推察された。花梅と実梅は同じようなパターンを示し.両者は近縁関係にあることが認められた。大梅品種群は遺伝的変異が大きいが.白花と桃花のグループに分類された。豊後など杏梅品種群は.ウメとアンズの種間雑種であることが確かめられ.両者の類縁関係を識別するのに本法がきわめて有効であった。 また、稲積、室谷、藤之梅の3品種、古城と小向、太平と鈴木白は差異がみられず、異名同品種とみなされた。本法は品種の同定にも利用できると思う。 次年度は、アンズ,スモモ,モモについて検討を加える予定である。
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