1)生理障害“尻ぐされ"の発生にかかわるカルシウム(^<45>Ca)の果実への移行について調査したところ、カルシウムは昼間よりも夜間に多く流入し(ただし、葉への流入は昼間の方がはるかに多く、夜間の3〜8倍)、果柄では昼間の3〜4倍、ガクでは1.5〜6倍、果実では1.5〜2倍となった。この実験系をより単純にするため第1段花房直下で挿し木をした株(2葉-1果実-根)について昼夜間での果実への移行について試験した。放射活性に両者間で全く差は認められず、昼間にも夜間と同程度のCaが流入することが分かった。挿し木では、根から果実までの距離が近いこと、挿し木の不定根が実生の根と異なること、などが考えられた。そこで、子葉直下で挿し木をして普通の苗との養分移行、なかんずくCa濃度について比較検討した。その結果、昼間の濃度には差は認められなかったが、夜間の濃度では5%レベルで挿し木で有意に高かった。なお、マグネシウムにも同様な傾向が認められたが、カリには差がなかった。 2)果実の果柄から木綿糸により^<45>Caを入れると果実やガクのみならず、葉や根にも移動することが分かった。カルシウムの動態と尻ぐされ果抑制技術に向けて示唆に富む結果が得られ、現在この点について検討中である。 3)カルシウムの果実への昼夜間の移行は、極めて複雑でその日の天候(日照、温度、湿度など)が関係すること、またその移行はWhole Plant Physiologyとして解析する必要のあることが示唆された。
|