研究概要 |
トマト果実の生理障害‘尻ぐされ果'の発生に関与する成分、カルシウムを中心に、イオンの吸収特性について検討した。 1.連続照明下のトマト葉ではクロロシスが生じる。ナス科野菜でその発生を比較したところ、ナス、トマトで激しく、トウガラシとピ-マンでは正常であった。根から地上部へのイオン濃度ならびに葉の成分濃度に明暗で差が無いことから、クロロシスの発現に無機成分は関係していないことが示唆された。クロロシス発現には、スーパーオキサイドが関係している可能性もあり、現在検討中である。 2.摘心処理は養分吸収にほとんど影響しなかったが、摘果処理は硝酸態窒素、カルシウム、マグネシウムの吸収を著しく促進した。摘心と摘果の同時処理は摘果処理と同様な反応を結果した。リンとカリウムの吸収は、いずれの処理によっても影響を受けなかった。根から地上部への輸送イオン濃度--NO_3^-,Ca^<2+>,Mg^<2+>も摘果により上昇した。リンとカリウムは対照区と差がなかった。 3.カルシウム(^<45>Ca)の果実への移行について検討した。同重量の果実で比較した場合、^<45>Caは明らかに昼間より夜間に多く流入することが分かった。果柄に木綿糸を通して^<45>Caを取り込ませたところ、^<45>Caは果実に流入することが明らかとなった。また、^<45>Caは葉にも移動していた。培養液の浸透圧を上げるためNaClを2500mg/1添加した場合、^<45>Caの果実への取り込みは少なくなった。1果実に占める輪切り末端部での放射能はNaCl添加区で低く、培養液の浸透圧を上げるとカルシウムは果実先端部に移行しにくくなることが示唆された。
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