アマリリス:球根の低温処理による促成栽培法が確立しているが、もともと熱帯性である本種にとっての低温の意義は明らかではない.球根内での花芽の発達を25℃恒温条件下で1年にわたって経時的に調査した結果、アマリリスにはいわゆる休眠がなく、葉の展開および開花が不規則であることが明らかになった.また、低温は球根内の花芽を健全のまま維持しているのに対し、高温は花芽のアボ-トをおこしやすいこと、および、それにはアブシジン酸が関連しているらしいことを明らかにした.また、リン片繁殖における2リン片押しでは底盤部の重要性が明らかになった. グロリオサ:温室内で生育させた植物体に形成された塊茎を経時的に掘り上げ、一定温度条件下における萌芽の消長を調査した.球根を2又状のまま植え付けると時間を経ずして萌芽がおこるが、基盤部を除いて分割した球根ではこれまでの報告と同様、萌芽遅延が認められ、このことがグロリオサの休眠と解されていることが明らかになった.球根の部位別植物ホルモンの分析を行った結果、オーキシンおよびアブシジン酸の分布の違いがこのような現象を支配していることが示唆された.15EA03:チューベローズ:球根冷蔵処理の影響について実験を行った結果、本種の花芽の発達に低温はほとんど関与せず、ただ高温貯蔵の際におこる球根の消耗を抑えているにすぎないことが示唆された.内生ジベレリンの消長を調査した結果、低温処理により同物質が増加することが明らかになり、これまでにいわれているような、球根内のジベレリン増加と植え付け後の急速な伸長生長との関連について考えなおさなければならない可能性があることを明らかにした.
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