研究課題/領域番号 |
04454060
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
鎮西 康雄 三重大学, 医学部, 教授 (60024709)
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研究分担者 |
三浦 健 三重大学, 医学部, 助手 (60219582)
松岡 裕之 三重大学, 医学部, 講師 (10173816)
安藤 勝彦 三重大学, 医学部, 助教授 (90024710)
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キーワード | 幼若ホルモン / シアノプロテイン / アリルフォリン / 貯蔵タンパク質 / 遺伝子発現 / CDNAクローニング / ノーザンブロット / ホソヘリカメムシ |
研究概要 |
昆虫の幼若ホルモン(Juvenile Hormone=JH)の作用機構とくに遺伝子レべルでの働きを明らかにするため、ホソヘリカメムシRiptortus clauatusの体液タンパク質の1つであるCyanoprotein(cp)のJHによる合成調節について研究した。Cpにはα・β2つのサブユニットがあり、休眠中はβが合成され、JHによって休眠から覚醒するとβの合成は抑えられ、αの合成が活性化することを明らかにした。α・βサブユニットの構造解析とJHとの関連を調べる目的で、α・βが共に発現されている幼虫期の脂肪体からpolyA(+)RNAを分離し、CDNAを合成してファージ発現ベクター(λgtll)に組み込んで発現させ、α・β特異抗体を用いてα・βCDNAクローンのスクリーニングを行ない、複数のCDNAクローンの分離に成功した。また更にα・βCDNAの塩基配列の解析を行なったところ、α・βは約70%の高いホモロジーを示し、両者は構造的に近いにもかかわらず、その遺伝子の発現はJHに対し異った(時に反対の)反応を示すことが明らかとなった。またα・βの塩基配列及びそれから考えられるアミノ酸配列につきすでに報告されているタンパク質とのホモロジー検索を行なったところ、他の昆虫のアリルフォリン型貯蔵タンパク質・他の節足動物のヘモシアニンなどこの間に30%の相同性がみられた。このことからCPはアリルフォリン型貯蔵タンパク質ファミリーに属することが明らかにされた。更にJH処理後のmRNAレベルをα・β特異CDNAプローブを用いたノーザンブロット分析により、JHによるα・βサブユニット合成の切り替は転写レベルでおこっていることを示した。JHによるCP合成切り替えの調節の系はJHによる遺伝子発現の制御機構を研究する上で好適な実験系であることが明らかになった。
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