研究概要 |
エンドウPAL‐,CHS‐遺伝子プロモータ領域に含まれるシス・トランス作働因子の検索 申請者らにより既に塩基配列の決定された、エンドウ PSPAL1,PSPAL2,およびPSCHS1,PSCHS2遺伝子の上流プロモータを含む異なる長さのDN断片を、CAT(Chlorampheni-col acetyl transferase)遺伝子をレポーター遺伝子にもつ植物トランジエント発現用ベクターに挿入し、エンドウプロトプラストにエレクトロポーレション法によって導入した後、エンドウ褐紋病菌由来エリシターやサプレッサーがCATのトランジエントな発現にどのような影響を及ぼすかを調べた。PSPAL1では-267から-180の間に、また、PSPAL2では-406から-206の間にエリシターによる発現誘導応答に必要なシス因子の存在することが明かとなったが、これらの領域には、他の植物PAL遺伝子上流領域に保存されている共通のコンセンサスシークエンスモチーフ、box1,box2,およびBox4が存在している。また、PSCHS1,PSCHS2を用いた同様な実験でも、Box1およびBox2を含む領域を欠くと、エリシター誘導応答が消失することから、これらの共通したシークエンスモチーフあるいは、その近傍にエリシター誘導応答に必要なシス因子が存在することが判明した。 シグナル伝達に関与する物質群の検索 また、サプレッサーのシグナル伝達経路における原形質膜機能に及ぼす影響について解析を試みた結果、サプレッサーは原形質膜ATPase活性をin vivo,in vitro共に阻害することが明かとなった。また、サプレッサーは原形質膜でのポリホスホイノシチド(PI)代謝を阻害することにより、エンドウ動的抵抗性反応の始動シグナルをブロックしていることが判明した。
|