• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1992 年度 実績報告書

天蚕培養胚子による休眠覚醒に関する発生的研究

研究課題

研究課題/領域番号 04454064
研究機関信州大学

研究代表者

小林 勝  信州大学, 繊維学部, 助手 (10021164)

研究分担者 武井 隆三  信州大学, 繊維学部, 教授 (80021161)
キーワード天蚕、柞蚕の相反交雑種 / 胚子の懸液培養 / 前幼台態休眠 / 休眠覚醒 / イミダゾール化合物 / エクダイソン / ホルモンの代謝回転 / 遺伝子の発現
研究概要

前幼虫態で休眠する天蚕の休眠覚醒について、培養胚子と昆虫ホルモンによる機構を調べ、つぎの結果を得た。
1.産卵後1および6日目胚子ではイミダゾール化合物の高濃度の場合に異常発生し、ecdysterone区では発育分化を促す傾向が認められた。11日目の幼虫体の完成胚子では、ecdysterone区に休眠覚醒個体がなく、逆に発育に抑制が認められた。一方、KK-42HCl1μg/μl100%、KK-86S1μg/μl80の覚醒個体が得られた。イミダゾール化合物処理による休眠覚醒にはなお問題点があり、これは天蚕胚子の発育不揃いが関係しているものと考えられた。なお、現時点の隨次孵化法は天蚕と二化柞蚕の交配法が最も確実な方法である。休眠機構については、培養胚子におけるecdysteroid量の変化を重点に目下進行中で、結論を得るに至っていない。
2.本年度は予備実験として、天蚕、柞蚕および相反交雑種の卵巣についてホルモンの消長の1部を調査した。蛹休眠する柞蚕の卵巣は見かけ上、原基のまま発育を停止しているが、休眠を打破すると約15日で卵形成を完了する。一方、天蚕は夏眠の場合を除き卵形成を停止することがない。また、相反交雑種は両親の場合と異なり、蛹休眠も前幼虫態休眠も行わない。昆虫の卵巣では、ecdysteroid合成の行われることが知られている。天蚕、柞蚕の卵巣にもこのホルモンが多く存在し、その他未同定のsteriodも存在している。卵巣形成期におけるタンパク質を同定したところビテリンが主要なタンパク質であった。その分子量は異なる2種類のサブユニットから成っていた(天蚕:185,000と440,000、柞蚕:170,000と45,000)。交雑種では4種類のサブユニットが検出された。なお、柞蚕のビデロジェニン(ビテリン駆体)は210,000であり卵巣へ取り込まれてから加工され、ビテリンになることが示唆された。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 小林 勝 柳川 栄夫 田中 一行: "天蚕飼育圃場における核多角体病防除に関する総合的検討" 日本蚕糸学雑誌. 58. 344-348 (1989)

  • [文献書誌] 田中 一行 小林 勝: "ヤママユガの幼虫皮膚の超微形態" 日本蚕糸学雑誌. 60. 48-54 (1991)

  • [文献書誌] 小林 勝 田中 一行: "テンサンとサクサンの種間雑種(F1)における繭糸の性状について" 信大繊維農場研究報告. 14. 17-21 (1991)

  • [文献書誌] 小林 勝,中垣 雅雄 米川 昌志 田中 一行 横山 マルシア 紀子: "ヤママユガとサクサンの種間雑種(F1)における精子形成に関する微細形態学的研究" 日本応用動物昆虫学雑誌. 36. 231-237 (1992)

  • [文献書誌] M.N.YOKOYAMA,Z.KAJIURA,M.NAKAGAKI,R.TAKEI,M.KOBAYASHI and K.TANAKA: "Storage proteins Vitellogenin of wild silkmoths,A.yamamai,A.pernyi and their hybrids." Comparative Biochemistry and physiology. (1993)

  • [文献書誌] Z.KAJIURA,M.NAKAGAKI,and R.TAKAI: "Spermatogenesis of the tests of juvenile hormone-treated Silkworm larvae,Bombyx mori." Comparative Biochemistry and physiology. (1993)

  • [文献書誌] M.KOBAYASHI and K.TANAKA: "Wild Silkmoths '89・'90" International Socity for wild silkmoths, 180 (199)

  • [文献書誌] M.KOBAYASHI,H.HASEGAWA and K.TANAKA: "Wild Silkmoths '92" International Socity for wild silkmoths, (1993)

URL: 

公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi