研究概要 |
Rj遺伝子を保有するダイズ品種は特定の生理的特性を有するダイズ根粒菌による根粒形成を抑制するのみならず、根粒形成において特定根粒菌株に対する選択性を示す。すなわち、Rj_2Rj_3品種はRj_4品種で根粒形成しない菌株(C型)を、Rj_4品種はRj_2Rj_3品種で根粒形成しない菌株(B型)に対して選択性を示す。そこで、この両Rj遺伝子を保有するダイズではどの様な選択性を示すかを検討するため、Rj_2Rj_3品種IAC-2とRj_4品種Hillを交配し、その後代からRj_2とRj_4の両遺伝子を保有するA,B,Cの3系統、12品種を選抜した。これらの品種についてRj_3の有無をUSDA33を接種して検定した結果、全ての品種で検出され、Rj_2とRj_3は同一の染色体上に存在すると推定された。接種試験用ダイズ栽培の培地の燐酸濃度と微量要素添加が根粒形成に及ぼす影響を検討し、燐酸濃度が上昇すると総根粒数は増大するが、50ppmを越えると主根の根粒数が減少し、微量要素の添加がその傾向を減少させることなどから、燐酸による一部の微量要素の不可給化が根粒形成を遅延させると推定した。Rj_2Rj_3Rj_4-遺伝子型およびnon-Rjダイズを九大農場で栽培し、200の分離菌を得、コロニーの形状とインドール酢酸産生能によって、9タイプに分類した。これらの分離菌株の中の30菌株をnon-Rj及びRj_2Rj_3Rj_4遺伝子型のA,C系統ダイズに接種し、根粒数と着生の早晩を比較した結果、A,C系統間に差が認められたことから、根粒菌株との間の親和性に系統間差がある判断した。
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