研究概要 |
牛乳アレルギー成立の分子機構を解明するため、その原因物質であるアレルゲン特異的なIgE抗体の産生にいたるB細胞の増殖および分化機構を調べることを目標として、他のエフェクター細胞を用いず液性因子の添加のみでアレルゲン特異的なB細胞のIgEクラススイッチをin vitroの実験系において再現することを目的とした。抗原としてβ-ラクトグロブリンの消化酵素分解物である21-40領域に注目し、この領域に特異的なB細胞の分離を簡便で高効率な分離能を有する磁気ビーズを用いて行った。すなわち、表面を21-40でコーティングした磁気ビーズに21-40特異的なB細胞を吸着させ磁力による細胞分画を行った。こうして得られた21-40に特異的なB細胞のIgEクラススイッチを誘導するため、IgEクラススイッチ誘導因子としてこれまで明らかにされているIL-4などのサイトカイン及びCD40リガンドをはじめとするT細胞表面抗原を用いた。本研究では、サイトカインとしてConA刺激を加えたD10.G4.1(タイプ2のTHクローン)の培養上清、及びT細胞表面抗原としてConA刺激を加えたD10.G4.1の膜成分(PM)を用い、非免疫の通常のマウス脾細胞から分離した磁気ビーズ結合性の細胞と7日間培養した。すると培養上清中に21-40特異的なIgE抗体が検出されたことから、アレルゲン特異抗体のIgEクラススイッチをこの実験系により再現できることが明らかとなった。今後,この抗体の遺伝子構造を解析する.
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