研究概要 |
1.S.coelicolorの二次代謝の調節蛋白AfsRは同菌の有するAfsKキナーゼによってリン酸化される。afsK遺伝子をファージを用いて破壊したところ,抗生物質生産の顕著な減少が観察され,afsKが確かに二次代謝に関与することを明らかにした。またafsK破壊株でもAfsRはリン酸化され,AfsRをリン酸化するキナーゼは唯一ではなく,複雑なリン酸リレーネットワークを形成していることが示された。 2.A-ファクター欠損のS.griseusは胞子形成を欠落している。A-ファクター非存在下で胞子着生を誘導した遺伝子の1つとしてamfCをクローン化,その塩基配列を決定した。またS.griseusのamfC破壊株は胞子着生が顕著に減少し,amfCは気中菌糸形成に関与すると結論された。amfC遺伝子に相同な配列は調べたすべての放線菌に分布しており,このうちS.coelicolorのamfC遺伝子をクローニング,塩基配列決定を行った。両者の相同性は70%と非常に高く,amfCが一般的に放線菌の気中菌糸形成に関与することが示唆された。 3.A-factor非存在下でも胞子着生を行う変異株をS.griseusからUV処理で多数分離した。これらは,A-factorの調節ネットワーク中の各ステップの変異株と考えられ,今後これらの染色体DNAからショットガンクローニングによってA-ファクター欠損株に胞子またはストレプトマイシン生産を起こさせる遺伝子の単離を試みる。 4.S.griseusよりafsK遺伝子の相同配列をクローニングし,塩基配列決定した。S.coelicolorのafsKと非常に高い相同性を示した。今後,これらの遺伝子の破壊実験等により、その役割を明らかにする予定である。
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