研究課題/領域番号 |
04454076
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
大宮 邦雄 三重大学, 生物資源学部, 教授 (60023488)
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研究分担者 |
田中 晶善 三重大学, 教育学部, 助教授 (10155111)
粟冠 和郎 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20154031)
嶋田 協 三重大学, 生物資源学部, 教授 (20024549)
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キーワード | セルラーゼ / キシラナーゼ / 遺伝子 / clostridium thermocellum / clostridium stercorarium / 耐熱性 / リグノセルロース / 植物繊維 |
研究概要 |
本研究は好熱性嫌気性菌Clostridium stercorarium F-9やClostridium thermocellumより、大腸菌にクローニングした耐熱性セルラーゼおよびキシラナーゼ遺伝子の塩基配列を決定し相同性を検討することにより、耐熱特性と基質認識機構に対する手がかりを得る目的で企画したものである。本年度は、次のような結果を得た。1)耐熱特性の高いC.stercorariumのxynB遺伝子は1101塩基からなり、システインを全く含まない367アミノ酸をコードしていた。アミノ酸配列の相同性から、遺伝子産物XynBはファミリーFに分類され、8カ所の保存領域が見いだされ、そのうちの6番目の領域のITELDの配列の中のグルタミン酸が活性中心であることを明かにした。他の保存領域に存在するグルタミン酸やアスパラギン酸が基質の認識に関与している可能性があるが、結果の具体化にはさらに検討を要する。精製したXynBはキシラナーゼに加えセルラーゼ活性を有し、pH6.1でキシランやPNPCに対して80℃で最大活性を示した。本酵素は100℃、pH6.1で10分加熱後60℃で60%もの活性を回復したが、pH5.8では凝集が起こり活性は回復しなかったが、凝集物を8M尿素で可容化すると一部の活性のみが回復する。不可逆失活が加熱時間に対して一次反応進行していた。断熱型示差走差熱量計(DSC)でXynBの熱変性反応を観察したところ、この蛋白は変性後天然構造にゆっくりと巻き戻る再生能を持つことが示唆された。基質認識機構を検討する為に、基質アナログである1-デオキシノジリマイシン(グリコシド加水分解酵素の活性部位に結合する阻害剤)を用いたが、この物質はXynBは阻害剤として機能しなかったことから、アミラーゼとは異なる基質認識機構を持つことが推定された。C.thermocellumのCelCに亜硝酸ナトリウムを作用させ、ランダム変異をかけたところ、107Gluが107Glyに、209Lysが209Gluに変換され最大活性の温度やpHが低い領域にシフトしたので、両アミノ酸が基質認識に何らかの関与をしているものと推定している。 以上、遺伝子やその翻訳産物の特性解析の結果、これらセルラーゼやキシラナーゼの耐熱特性がシステインを持たないことに、またこれら酵素の基質認識にグルタミン酸が関わっていることが判明した。
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