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1992 年度 実績報告書

凍結耐性パン酵母に関する基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 04454077
研究機関九州大学

研究代表者

波多野 昌二  九州大学, 農学部, 教授 (30038260)

研究分担者 宮本 敬久  九州大学, 農学部, 助手 (70190816)
吉元 誠  九州大学, 農学部, 助教授 (90182831)
キーワードパン酵母 / 凍結耐性 / 冷凍生地製パン法 / アクチン / 解糖系
研究概要

1.凍結貯蔵後の酵母を電顕により観察した結果、凍結非耐性酵母は、凍結貯蔵期間の延長に伴い、核膜の消失、ミトコンドリアの変形やその内部構造の崩壊が顕著となった。凍結耐性酵母ではこのような損傷は少なかった。アクチン特異的な蛍光色素で染色し、蛍光顕微鏡で観察した結果、凍結貯蔵後には若干の蛍光強度の低下、すなわちアクチンと蛍光色素の結合の低下がみられた。低下の程度は、凍結非耐性酵母の方が大きかった。また、凍結貯蔵後には、細胞からのカルシウムイオンおよび紫外吸収物質の漏洩がみられ、この漏洩量も凍結非耐性酵母の方が大きく、凍結貯蔵により酵母の膜系は大きな損傷を受けることが確認された。
2.DNaseI阻害法で測定した結果、-20℃で7日間凍結貯蔵後の酵母から調製した無細胞抽出液では、未凍結酵母に比べ、抽出液中のアクチンによるDNaseI阻害活性は約50%に低下した。凍結耐性酵母では、解凍後、培地中で30℃、2時間インキュベートした後に無細胞系を調製するとDNaseI阻害活性の回復が認められたが、非耐性酵母では、ほとんど回復しなかった。
3.両酵母から無細胞抽出液を調製してゲルろ過を行い、解糖系の各酵素活性の溶出パターンを調べた。その結果、未凍結の酵母では、ホスホフルクトキナーゼ、グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼは本来の分子量よりも高分子量側に溶出され、その溶出位置は、アクチンの溶出位置とも一致したことより、これらの酵素は、アクチンなどの蛋白質と複合体を形成し、会合状態で存在していることが示唆された。凍結貯蔵後の非耐性酵母から調製した無細胞系ではヘキソキナーゼおよびピルビン酸キナーゼ活性の低下、ホスホフルクトキナーゼ活性の低分子量側へのシフトなどが観察された。このため、凍結非耐性酵母では凍結貯蔵後に発酵力が低下するものと考えられる。さらに詳細に検討中である。

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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